#04 モーツァルト版メサイア対訳・精読 【メサイア精読 第1部】
(2011.12.13)
モーツァルト版メサイアを演奏するにあたって、メサイアの物語に触れたことのない一年生を始めとした団員が少しでも話の内容を知って舞台に乗るために、団員の学習ツールの一つとしてこの「メサイア精読」を去年と同じようにメールを使って配信して参りました。
去年のメサイア精読を参考にしつつ、ドイツ語テキストの文法にも触れながら書きました。個人的に感じたことも多分に含んでいます。そういった箇所は一個人の意見として受け取って頂けると幸いです。
語学班 班長 石岡達也
はじめに
メサイアの台本を作成したチャールズ・ジェネンズは、序文で次のように述べています。
Majora Canamus
さあ、大いなることを歌おう
この信仰の奥義こそは偉大であることは、議論の余地もありません。
主は肉体としてこの世に現れ、聖霊において義とせられ、天使たちに見守られ、諸国民の間で宣べ伝えられ、世界中で信じられ、栄光のうちに天上へ召されました。
主の中にこそ、その知恵と知識の宝が秘められているのです。
1714年の初演から270年経つ現代において尚、歌い継がれるメサイアのドイツ語版テキストに触れていきましょう。
まずはじめは【第一部】の流れを説明します。
下の内容を見てもらえば分かるように、第一部はおおまかにいうとPifaをまたいで2つに分けることができます(そう思って対訳を見ながら音源を聞いてみると、納得できるはず!)。
その中でも細かいテーマは☆で書いてあるので見てみてくださいね。
【第1回】
No.1 Overtura<序曲>
☆バビロン捕囚、受難への暗示
【第2回】
No.2 (Tenor)
「シオンを慰めよ」
「全ての谷は高く上げられ」
No.3 Coro
「すると主の栄光が現れるだろう」
☆バビロン捕囚からの解放、主なる神の栄光の出現
【第3回】
No.4 (Bass)
「万軍の主はこう言われる」
「だが彼の来られる日に誰が耐えられよう」
No.5 Coro
「そして彼はレビの子らを清めるだろう」
☆主と契約の使者の神殿来訪、レビの子孫
【第4回】
No.6 (Soprano) e Coro
「見よ、処女が身ごもって」
「シオンに喜びを告げる者よ」
☆マリアの処女懐胎、主の誕生の預言と期待
【第5回】
No.7 (Bass)
「見よ、闇は地を覆い」
「闇の中をさまよう民は」
No.8 Coro
「私たちの救いのために、みどり子が生まれた」
☆闇の中をさまよう民たち、1人の御子の誕生によってもたらされた光
※ここまでがキリストの誕生までを描いています。
この後、キリストの誕生を受けて、羊飼いたるキリストについて物語は進んでいきます。
【第6回】
No.9 Pifa<田園交響曲>
No.10 (Soprano)
「羊飼いが野に集まり」
「見よ、主の天使が近づき」
No.11 (Soprano)
「天使は言った」
「すると突然、天の軍勢があらわれ」
No.12 Coro
「いと高き所では、栄光が神にありますように」
☆主の誕生を告げる天使たちと民たち
【第7回】
No.13 (Tenor)
「シオンの娘よ、喜びの歌を歌え」
No.14 (Soprano)
「目の見えない者の目は開かれ」
「彼は羊飼いのように彼の群れを養い」
No.15 Coro
「彼のくびきは負いやすく」
☆主の誕生の祝福、羊飼いたる主と彼のくびきを背負う者たち
以上が第1部の流れになります。これに従ってメサイアの物語の世界に慣れ親しんでいきましょう。
【第1回】
No.1 Overture<序曲>
イエスが生まれる前、ユダヤ民族に何が起きたのでしょうか?
★バビロン捕囚について
ユダヤ人には当初、紀元前1000年ごろサウル王が建てた「イスラエル王国」がありました。
が、サウル王に続く、ダビデ王、ソロモン王の治世の後、北王国(イスラエル王国)と南王国(ユダ王国)に分裂し、北王国は紀元前722年にアッシリアに滅ぼされます。
一方の南王国も紀元前597年にバビロニアに敗れます。イスラエルの町や神殿は破壊しつくされ、南王国の人々、とりわけ司祭階級など指導的な人々はみなバビロニアに連行され、奴隷としての生活を強いられます。
これが「バビロン捕囚」です。この生活は70年後、バビロニアがペルシアに敗れ、ペルシア王キュロスがユダヤ人たちに祖国へ帰って暮らすことを認めるまで続きます。
このころ活躍した預言者(×予言者 神の言葉を預かる者=預言者)にイザヤがいます。北王国が敵の手から救われなかったことから、南王国の人々も外敵に脅かされる中、神の救いを信じませんでした。これは神との契約違反=罪です。
イザヤは、そのように人々が神の救いを信じず、傲慢であり続け、罪を犯し続ければ、国は滅ぼされると警告しました。一方でイザヤは、イスラエルの罪はいずれ許され、人々が解放されるであろうことも告げていました。
こういった状況の中で「救世主がやって来る」といった思想が生まれ、メサイア=救世主の物語が始まります。
そして序曲の後、テノールが慰めよと人々に語りかけ、バビロン捕囚からの解放を歌います。
【第2回】
人々の罪が許され、捕囚からの帰還を告げる場面から物語は幕を開けます。
まず、神は使者たちに次のように告げます。
No.2 Recitativo accompagnato (Tenor)
イザヤ書40章1-5節
Tröstet, tröstet Zion!
「シオンを慰めよ」
Spricht eu'r Gott.
とあなたがたの神は言う
★シオンとはエルサレムの丘の名で転じてエルサレムの町を指します。聖書ではシオンやエルサレムを擬人的に「娘シオン」や「彼女」と書くことが多々あります。
★キリストの前に現れる存在としてのバプテスマのヨハネの暗示でもあります。(参照:ヨハネ伝1章)
Geht, ihr Friedensboten, nach Jerusalem,
エルサレムへ行け、平和の使者たちよ、
und prediget ihr,
そして宣べ伝えよ、
dass ihre Ritterschaft ein Ende hat,
そのつとめは終わった、
dass ihre Missetat vergeben ist!
過ちは許されたのだ、と」(とあなたがたの神は言われる)
★「Ritterschaft=騎士道」はバビロニアにおける実際の生活を指しているようにも考えられるし、罪の意識だとか精神的なことかもしれません。
続けて、荒野に呼ばわる者たちが言います。
Vernehmt die Stimme des Predigers in der Wüste:
荒野で呼ばわる者の声を聞け、
bereitet dem Herrn den Weg,
「主のために道を用意せよ
und bahnet die Pfade der Wüsten unserm Gott!
荒野の道を整えよ、私たちの神のために」
「主の道を用意せよ」と述べ、アリアに続きます。
Aria (Tenor)
イザヤ書40章4節
Alle Tale macht hoch und erhaben
「すべての谷を高く持ち上げ
und senkt die Berge und Hügel vor ihm
神の前に山と丘を低くせよ
macht eb'ne Bahn
道は平らに
und, was rach ist, macht gleich.
そして荒れた地は等しく均せ」
☆英語では'shall' を用いて予言の形で書かれていましたが、ドイツ語では命令形を用いています。
★荒れ果てたエルサレムの地が整えられるとも読むこともできるし、神への姿勢が「荒れ」ていたのが整えられるとも読むことができます。また、神の前では人間の価値は皆同じであることを暗示しているようにも思えます。
荒れた地は等しく整えよ。 すると…
No.3 Coro
イザヤ書40章5節
Denn die Herrlichkeit Gottes des Herrn
すると主なる神の栄光が
wird offenbaret.
示されるであろう
★このwirdは受身を表しますが、次に出てくるwerdenは未来を表します。
Alle Völker werden es sehen,
全ての民はこれを見る
denn es ist Gott, der es verheißen hat.
なぜなら、それを約束したのは、神なのだから
主の栄光が示された後、万軍の主の言葉から始まります。
【第3回】
ユダヤ人はバビロニアから解放され、祖国へと戻ってきました。
前の長調の曲でテノール・合唱が「救世主が来る喜び」を歌い、救い主としての側面を表しましたが、ここでは曲は短調へ移行し、捕囚から解放され許しを受けた人々に対し、「神への態度を改めよ」と戒めをもたらす厳しい存在としての側面を表す内容となっています。
まず、主の言葉がハガイ書を通して伝えられます。民にとって主とはどんな存在なのでしょうか?
No.4 Recitativo accompagnato (Bass)
ハガイ書2章6-7節
So spricht der Herr, Gott Zebaoth:
万軍の主はこう言われる。
Noch eine kleine Zeit, und ich bewege
「さらに少しの間、私は揺り動かす
den Himmel und die Erde, das Meer und das Trock'ne
天と地と、海と陸を。
alle Völker beweg' ich, spricht Gott,
そして私は全ての民を揺り動かす」神は言われる
★ここでいう「揺り動かす」が何を表しているのか、はっきりしたことは言えませんが、
世界が揺り動かされることによって財宝がこぼれ落ちる=望むものがやって来る=キリストがやって来る
というように読めるでしょう。
或いは、
世の中全てを揺り動かす=終末の日が訪れる、その前に救いの主としてキリストをもたらす
と読むこともできます。
wenn nun der Trost aller Heiden erscheinet.
「そのとき、全ての異邦人の慰めが現れる」
★英語版では「国々が望むものがやって来るだろう」となっていますが、ドイツ語版では「全ての異邦人の慰め」となっています。「民の慰め」ではなく「異教徒の慰め」というところにも注目したいです。
バスによる預言は続きます。
ハガイ書に続いてマラキ書からの引用です。
マラキ書3章1節
Der Herr, den ihr suchet
「汝らが求めていた主は
kommt plötzlich zu seinem Tempel
突然に、その神殿へと来る。
und der Engel des Bundes, des ihr begehret.
そして汝らが待ち望んだ契約の使者もまた。
Sieh! Er kommt, spricht Gott der Herr
見よ、彼が来る」主なる神は言われる。
そして、人々の前に現れる契約の使者について、アリアで歌います。
Aria (Bass)
マラキ書3章2節
Doch wer mag ertragen den Tag seiner Ankunft
だが、彼の到来に誰が耐えられよう
und wer besteh'n, wenn er sich zeiget?
彼の現れるとき、誰が立っていられよう
Denn er ist gleich des Goldschmieds Feuer.
なぜなら、彼は金を鍛える者の火のようであるから
★信仰の厚くないものは、メシア到来のときに耐えることが出来ない、という神の厳しい一面を描いています。純化することを語るには「清める、洗う」といった水のイメージを使うのが一般的ですが、ここでは逆に燃え盛る火のイメージを使っています。
No.5 Coro
マラキ書3章3節
Und er wird reinigen dir Kinder Levi,
そして彼はレビの子を清めるだろう
damit sie bringen, Herrlicher Dir,
主なるあなたに捧げるために
ein Opfer der Gerechtigkeit.
義の捧げものを
★レビとは初期ユダヤの指導者アブラハムのひ孫の名前です。(アブラハム→イサク→ヤコブ→レビ)
レビとその子孫は、司祭の先祖とされています。
★イエスの到来時にその御前に堂々と立てるのは、神が聖別した者たち、正しい信仰の者たちだけであることを歌っています。愛の神、許しの神であると同時に厳しい神の側面がここにあります。
次回は、マリアの処女懐胎から主の誕生の預言へと続いていきます。
【第4回】
前の場面で主の厳しい一面が語られた後、処女マリアは聖霊の力によってイエスを身ごもります。人々が待ち望んだ救世主の誕生です。
Recitativo (Soprano2)
イザヤ書7章14節、マタイによる福音書1章23節
Denn sieh! Eine Jungfrau wird schwanger,
さあ見よ! 処女が身ごもって
★今まで受身あるいは未来の意味を表す助動詞としてのwird(werden)を見てきましたが、ここでは「〜になる」の意味を持つ動詞として使われています。
gebiert einen Sohn
男の子を産む、
und nennet ihn Immanuel;
そしてイマヌエルと名付ける
Gott mit uns!
「神は私たちと共に」という意味である
★マリアは処女のままイエスを身ごもったとされています(処女懐胎)。
救世主の誕生という歓喜を、人々は各地へ伝えます。
No.6 Aria (Soprano2) e Coro
イザヤ書40章9節/イザヤ書60章1節
O du, die Wonne verkündet in Zion,
シオンに喜びを告げる者よ
★ここのdieは定冠詞ではなく、関係代名詞として使われています。関係代名詞として使われる場合、前に必ずカンマが打たれ、定動詞は文の一番後ろにおかれます。しかし、ここでは英語原文の語順を尊重しているためか、in Zionの前に置かれています。
steig' empor zu der Höhe der Berge,
山の高みへと上れ
O du, die Wonne verkündet in Jerusalem,
エルサレムに喜びを告げる者よ
heb' auf die Stimme mit Macht,
力の限り声を上げよ
★分離動詞aufhebenが使われています。前綴り(ここではauf)を除いた動詞が本来あるべき動詞の位置(ここでは命令形なので文頭)に、前綴りが文末に置かれます。ただし、一文が長すぎるときや、前綴りと分離された動詞の距離が長すぎるときは、今回のように前綴りが文末に置かれないこともあります。
dein Gesang schalle getrost,
歌声よ、安らかに響き渡れ
verkünde den Städten Juda:
そしてユダの町々に告げよ
Er kommt, eu'r Gott!
「彼が来る、お前たちの神が!」
O du, die Wonne verkündet in Zion,
シオンに喜びを告げる者よ
mach' dich auf, strahle freudig einher,
起きよ、光を放て
denn dein Licht kommt,
あなたを照らす光はやって来て、
und die Herrlichkeit des Herrn geht auf über die.
主の栄光はあなたの上に輝くのだから
この後、闇の中をさまよう民たちと、それを照らす1人の御子の誕生によってもたらされた光について、物語は続いていきます。
【第5回】
テキストはイザヤ書で続きますが、イエス誕生の喜びを伝えた前の明るい曲調から大きく暗転します。
闇のモチーフが繰り返し描かれる中、主の大きな光が現れます。
そして、合唱で人々にイエスの誕生が伝わります。
大いなる闇が大地と人々を覆う中、主の栄光があらわれ、人々を照らします。
No.7 Recitativo (Bass)
イザヤ書60章2-3節
Blick auf! Nacht bedecket das Erdreich,
見よ、夜闇は地を覆い
dunkle Nacht die Völker;
暗夜が人々を包んでいる
★動詞bedecketが省略されています。
doch über dir gehet auf der Herr,
しかし汝の上には主が昇り出で
und seine Herrlichkeit erscheinet über dir;
主の栄光が汝の上に現れる
und die Heiden wandeln in deinem Licht
汝を照らす光の中を、異邦人たちはさまよい
und die Könige im Glanze deines Aufgangs.
王たちは、その昇りゆく輝きの中を歩む
★ここも動詞wandelnが省略されています。
★このrecitativoでは、イエス出現の持つ意味合い、つまり「イエスは全ての人にとって光明」ということが歌われます。
王たちは昇りゆく輝きの中を歩み、そして民は…
Aria (Bass)
イザヤ書9章2節
Das Volk, das im Dunkeln wandelt
闇の中をさまよう民は
es sieht ein großes Licht.
大いなる光を見る
Und die da wohnen im Scatten des Todes,
死の影の地に住まう人々、
es scheinet helle über sie.
光は、彼らの上に明るく輝く
★イエスが来る前のこの世を闇とし、イエスを光として対比しています。
No.8 Coro
イザヤ書9章6節
Uns ist zum Heil ein Kind geboren,
私たちの救いのために、みどり子が生まれた
★珍しく三格が文頭に来ています。ドイツ語は語順が比較的自由で、大切な言葉ほど後ろに来るという性質を持っています。
uns zum Heil, ein Sohn gegeben,
私たちの救いのために、一人の男の子が与えられた
dessen Herrscaft ist auf seiner Schulter,
権威が彼の肩にあり
und sein Nam' wird genenet:
彼の名はこう呼ばれる
Wunderbar, Herrlichkeit, und Rat und Kraft
「奇跡、栄光、助言者、力
und Held und ewig Vater und Friedefürst.
英雄、永遠の父、平和の君」
精読第1回〜第5回まではバビロン捕囚からキリストの誕生までを見てきました。
No.8とNo.9が第一部の大きな境目となります。次回以降は大きく場面が変わり、羊飼いたるキリストの物語が始まります。
【第6回】
これまでは旧約聖書を中心に主の「預言」が語られました。
ここからは、キリスト誕生後の「キリストの生涯」が語られます。
No.9 Pifa
★PifaとはPiffero(ピッフェロ)という、イタリアで使われていた二枚のリード楽器のことだそうです。ローマやナポリでは、クリスマスの季節に牧者の姿をした農民が集まって、この楽器を演奏する習慣がありました。クリスマスという、キリスト誕生の聖なる夜の雰囲気が出ています。
Pifaに続いて、主の誕生を告げる天使たちと民が描かれます。
比喩表現の多い旧約聖書から、直接的な描写の新約聖書に切り替えることによって、イエスの誕生が際立っています。
Recitativo (Soprano2)
ルカによる福音書2章8節
Es waren Hirten beis ammen auf dem Feide,
羊飼いたちが野に集まって
die hüteten ihre Herdes des Nachts.
夜、羊の群れの番をしていた。
No.10 Recitativo accompagnato (Soprano2)
ルカによる福音書2章9節
Und sieh! Der Engel des Herren trat zu ihnen,
見よ! 主の天使が近づき、
und die Klarheit des Herrn umleuchtete sie,
主のまばゆい輝きがあたりを照らしたので
und sie erschraken sehr.
彼らはおそれおののいた。
Recitativo (Soprano2)
ルカによる福音書2章10-12節
Und der Engel sprach zu Ihnen:
すると天使は彼らに言った
fürchtet euch nicht!
「恐れることはありません。
Ich bring' euch große Freude,
大きな喜び
Wonn' und Heil für alle Völker,
至福、全ての人の救済を、あなたたちに告げにきました。
denn euch ist heut' in Davids Stadt
今日ダビデの町で
der Heiland geboren, der Gesalbte, der Herr.
救い主がお生まれになりました、この方こそ、主キリストです」
★ダビデの町とはベツレヘム(=ダビデの生地)のこと。メシアはベツレヘムで生まれる、と旧約の時代から言い伝えられていました。(ミカ書5:2)
No.11 Recitativo accompagnato (Soprano2)
ルカによる福音書2章13節
Und alsowald war da bei dem Engel
すると途端に天使の側に
die Menge der himmlischen Heere,
天の軍勢があらわれ
die lobten Gott und sprachen:
神を賛美して、言った
No.12 Coro
ルカによる福音書2章14節
Ehre sei Gott in der Höhe!
「いと高き所では、神に栄光がありますように
und Fried' auf Erden
地上には平和がありますように
und allen Menschen Heil!
全ての人々に救いがありますように」
★このテキストは基本的にミサ曲のGloriaと同じですが、ここでは最後、人々にあってほしいとするものが「善意」から「救い」へと変更され、より人々の救済が強調されています。
主の誕生の祝福、羊飼いたる主と彼のくびきを背負う者の物語へと続きます。
【第7回】
ルカによる福音書の言葉で天使の歌声が主を賞賛し、キリストの誕生が全てのユダヤの民に伝えられます。
No.13 Aria (Tenor)
ゼカリア書9章9-10節
Erwach' zu Liedern der Wonne,
目を覚まし、喜びの歌を歌え!
frohlocke, du Tochter Zion,
喜び踊れ、シオンの娘よ
★ここでのシオンの娘とはユダヤの民のことです。
und jauchze, du Tochter Jerusalem,
歓喜の声をあげよ、エルサレムの娘よ
blick' auf, dein König kommt zu dir!
見よ! あなたの王が来られる。
Er ist ein Gerechter und ein Helfer
彼は、義の人であり救い主、
und bringet Heil allen Völkern,
全ての民に、救いをもたらす。
キリストの行いと教えが凝縮されて表されます。
その慈悲深さ、心の優しさが安らかな美しい旋律で奏でられます。
Recitativo (Soprano1)
イザヤ書35章5-6節
Dann tut das Auge des Blinden sich auf
そのとき、目の見えない者の目は開かれ
und das Ohr der Tauben wird hören,
耳の聞こえない者の耳も聞こえるようになる。
dann hüpfet der Lamme wie ein Hirsch,
足萎えの者は、鹿のように跳びはね
und die Zunge der Stummen singt Lop.
口のきけない者の舌が、褒め歌いだすだろう。
No.14 Aria (Soprano2)
イザヤ書40章11節
Er weidet seine Herde, ein guter Hirt
彼は良き羊飼い、彼の群れを養い
und sammelt seine Lämmer in seinen Arm.
子羊たちを腕の中へ集める。
★ここでの彼はキリストを、子羊たちは人々のことを指します。
Er nimmt sie mit Erbarmen in seinen Schoß
彼は慈悲深くふところに抱きあげて
und leitet sanft die gebären soll.
子を産むべき者を、やさしく導くだろう。
Kommt her zu ihm, die ihr mühselig seid,
彼のもとに来なさい、困窮した者たちよ
Kommt her zu ihm, mit Traurigkeit beladene,
彼のもとに来なさい、悲しみを背負った者たちよ
und er verleiht euch Ruh'!
彼は安らぎを与えてくださる
Nehmt sein Joch auf euch
彼のくびきを負い、
und lernet von ihm,
彼に学びなさい
denn er ist sanft und demutsvoll,
彼の心は優しく、謙虚であるから
dann findet ihr Ruh' für euer Herz!
そうすれば、心の内に安らぎを見つけることができるでしょう
No.15 Coro
マタイによる福音書11章28-30節
Sein Joch ist sanft,
彼のくびきは負いやすく
und leicht ist seine Last.
彼の荷は軽い
★くびきとは、牛車のながえ(=牛に牽かせる棒)の端につける横木のことで、これを牛の首にかけて車を牽かせます。
転じて自由を束縛するものという意味になります。
第一部では、バビロン捕囚からの解放、マリアの処女懐胎、主なるキリストの誕生の預言、キリストが生まれたことへの喜びと祝福といったことが、救い主を待ち望み、救い主の訪れに歓喜し、救い主によって救われた人々の視点で描かれてきました。
続く第二部では、キリストの受難と復活、伝道の物語へと移ります。